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タトゥーの痛み部位別チャート:全身を順番に並べて、研究が実際どう言ってるかまで

OpenInk チーム
2026-07-25
13 min read
タトゥーの痛み部位別チャート:全身を順番に並べて、研究が実際どう言ってるかまで — チュートリアル

痛みチャートっていうのは、体のどこに彫ると何番目に痛いかを1〜10で並べたもの。先に結論だけ言うと、あばら、胸骨、背骨、脇、肘の内側がキツい側の代表。外もも、二の腕の外側、前腕の外側が楽な側。残りは全部その間に入る。

で、ここからが他のチャートがまず書かないところ。タトゥーの痛みについて、査読を通った痛みの地図というものは存在しない。今まで見たチャートも、この下に置いてあるやつも、全部が彫師と客の証言を積み上げた集計。計画を立てる材料としては十分使える。何千人という彫師が同じパターンを報告してるし、神経科学が知ってる皮膚の配線の話とちゃんと噛み合ってるから。ただし実測値ではない。これを臨床的な事実みたいに出してくる相手は、盛ってる。

全身のタトゥー痛みチャート。前面と背面で部位ごとの痛みレベルを表示

チャート本体

1〜10で、1は引っかき傷レベルですぐ忘れるやつ、10はセッションを途中で切り上げることになるやつ。自分の数字はだいたいここから上下1〜2に収まるはず。

部位 痛み この数字になる理由
あばら、胸骨 9–10 脂肪がほぼなくて骨に皮が直で乗ってる。しかも呼吸するたび針の下の面が動く
9–10 神経の束が密、皮が薄い、すぐ下にリンパ節。だいたいの彫師は止めにかかる
鼠径部、内ももの上のほう 9–10 薄い皮膚、高い神経密度、逃げ場なし
膝裏、肘の内側 9–10 伸びる緩い皮の下に太い神経と腱。おまけに関節が勝手に曲がろうとする
背骨 8–9 図案の端から端まで、針の真下がずっと椎骨
足首、すね 8–9 骨の上に紙みたいな皮が一枚だけ。すねの鋭くて響く感じは彫った人みんな覚えてる
指、手、足、足の指 8–9 全身で神経密度が最も高い場所で、しかもどこも骨が浅い
首、喉 8–9 皮が薄い、神経が多い、そこに心理的な負荷が乗って体感が増幅する
頭、顔、耳 8–9 下は全部骨。マシンの音が頭蓋を伝って直接響いてくる
乳頭、胸の内側 8–9 乳頭は人体でいちばん神経が密に来てる皮膚のひとつ
膝の皿、肘の先 7–8 同じく骨に薄皮一枚。ただ内側よりは鈍い痛み方
6–7 個人差が全部位で最大。皮は柔らかいのに勝手に引っ込むし、力むとその分痛い
二の腕の内側、前腕の内側 6–7 同じ腕でも内側のほうが皮が柔らかくて敏感
腰、腰骨まわり 5–7 肉があるところは平気。腰骨が出てくる区間だけ急に刺さる
胸の外側、鎖骨 5–7 大胸筋の上は楽。鎖骨に直で乗った瞬間キツくなる
背中上部、肩甲骨 4–6 皮が厚くて筋肉もある。背骨に近づくほど鋭くなる
ふくらはぎ 4–5 筋肉と脂肪があって神経密度が低い。2個目に選ぶ人が多い
前腕の外側 3–5 最初の1個でいちばん選ばれてるのには理由がある
二の腕の外側、肩 2–4 全身でいちばん楽と言われてる定番
外もも 2–4 厚い皮、しっかりしたクッション、低い神経密度。体で一番おだやかな大キャンバス

数字とは別に注意書きが要る場所が2つ。脇と膝裏は、経験のある彫師がはっきり断る、あるいは追加料金+短時間限定でしか受けない、その二大巨頭。客が最後まで座れないから。

なぜそこが痛いのか

数字を決めてるのは3つ。その皮膚にどれだけ密に神経が来てるか、針と骨の間に脂肪と筋肉がどれだけ挟まってるか、そして皮が動くかどうか。

神経の話には具体的な数字がある。2020年の『Journal of Neurophysiology』のレビューによると、全身の触覚神経線維はおよそ23万本。分布はとんでもなく偏っている。指先には1平方センチあたりマイスナー小体が3,000〜5,000個。そこから数センチ移動しただけの母指球、親指の付け根のあの肉のところで500個前後まで落ちる。手のひらの幅の中でセンサーの数が6〜10倍違う。指のタトゥーと前腕のタトゥーが別物なのは、これが理由。

同じ勾配は器具がなくても体感できる。標準的な二点識別の検査だと、唇では2〜4mm離れた2点を別々に感じ取れて、指先で2〜8mm。ところがすねや背中になると30〜40mm離さないと1点に感じる。触覚をそこまで細かく報告してくる皮膚は、ダメージも同じ細かさで報告してくる。

2つ目は骨で、これは要するにクッションの問題。脂肪と筋肉は振動と圧を吸ってくれる。それがない場所では針の衝撃が骨膜まで素通りする。あばら、すね、胸骨で言われる「深くて鋭い」感じの正体がこれ。3つ目が皮膚の可動性。肘の内側、膝裏、腹は針の下で皮が逃げる。彫るのが難しくなって、その分セッションが長くなる。

皮膚の断面図。痛みの強い部位と弱い部位で、皮膚の厚み・脂肪層・骨までの距離を比較

まともな研究が1本だけある

タトゥーの痛みについて、査読を通ったまともなデータは1本しかない。取り上げる価値があるのは、そこで出た結論のうち2つがタトゥー業界の定番アドバイスと逆を向いてるから。

WitkośとHartman-Petryckaが2019年6月から2020年6月にかけて、ポーランドでタトゥーの入った1,092人を調査した。掲載は『International Journal of Environmental Research and Public Health』。痛みは0〜10の数値スケールで、施術中と施術直後の2回申告。内訳は女性863人、男性229人。

ひとつ目。施術中の痛みに、女性と男性の差はなかった。終わった直後だけ女性のほうが高く出た。つまり「女のほうが痛みに強い」も「男のほうが強い」も、少なくとも針が動いてる間については両方はずれ。

ふたつ目のほうが役に立つ。何が痛みの高さを予測するのかを並べた結果、係数はこうなった。

  • 施術前に痛み止めを飲んだこと — 単独で最も大きい要因(B = 1.42)
  • 入る時点での緊張の度合い(B = 0.45)
  • 施術中の出血(B = 0.36)
  • セッションの長さ(B = 0.35)

緊張がセッションの長さを上回った。不安を抱えて2時間座った人のほうが、リラックスして3時間座った人より痛みを高く申告している。

痛み止めの結果は正直に読む必要がある。これはアンケートなので、出てるのは相関であって因果ではない。いちばんありそうな説明は逆向きのやつ。痛いと予想してる人ほど事前に薬を飲むし、その人たちはもともと痛みを強く感じて強く申告する層でもある。この数字が実際にやってくれるのは、「先に飲んでおけば楽になる」という自信ありげな助言を潰すこと。少なくともここに根拠はない。

彫師が施術前のアスピリンやイブプロフェンを止めてくるのは、それとは別の、もっとしっかりした理由から。どちらも血を薄くするので出血が増えて仕事がやりにくくなる。そして同じ研究で、出血は痛みの高さと結びついていた。飲むか飲まないかは医者に聞く話であって、タトゥーのブログが決めることじゃない。ただ「先にイブプロフェン飲んどけ」という定説は、ネットで言われてるほど地に足がついてない。

部位より痛みを動かすもの

部位が決めるのはベースライン。どっちの端に着地するかを決めてるのは以下で、しかも部位と違ってこっちは全部こちらの管轄。

睡眠と食事。 最初の1時間半はだいたいアドレナリンが運んでくれる。それが切れるのが2〜3時間目あたり。一緒に血糖も落ちて、そこから痛みの耐性が崖みたいに下がる。行く前にちゃんと食べる。長丁場なら後半用に甘いものを持っていく。

倒れるのは根性の問題じゃなくて血圧のイベント。 ハーバード大学医学部は血管迷走神経性失神を、痛みやストレスに対する反射で心拍が落ちて血圧が下がる現象と説明していて、これが失神全体の半分以上を占める。タトゥーショップでは日常的に起きる。体格のいい鍛えてる人でも普通に起きる。寒気、変な汗、視界が狭くなる。この3つのどれかが来たらその場で彫師に言う。倒れてから寝かされるより、倒れる前に横になるほうが断然いい。

セッションの長さ。 皮膚は時間が経つほど荒れていくので、5時間の最後の1時間と最初の1時間は同じものじゃない。同じ図案なら3時間×2回のほうが、6時間を1回でやるより合計の痛みは明らかに軽い。値段は変わらない。

その瞬間に彫師が何をしてるか。 線は鋭い引っかき。ただし進みは速い。ぼかしは鈍い灼ける感じで、広い面積を通る。いちばん皮膚に来るのがベタ塗りで、同じ場所を何度も通るから。だから面積が同じでも、しっかり詰めたブラックワークファインラインよりずっと長く座ることになる。

長時間のタトゥー施術中。客は休憩していて、そばに水と軽食が置いてある

麻酔クリームと、FDAの立場

麻酔クリームは効く。ただし現実の規制警告がついて回っていて、しかもタトゥー客向けに売られてる商品群こそが、その警告の対象だったりする。

FDAは特定の市販外用鎮痛剤を使わないよう消費者に呼びかけている。タトゥーを含む美容施術の前に使うものとして売られている製品のうち、市販で認められている上限を超えるリドカイン濃度を表示しているものがあるため。広い面積に塗る、傷んだ皮膚に塗る、上からラップで覆う。この条件下で高濃度リドカインは不整脈、けいれん発作、呼吸障害と結びつけられている。実務的な線引きは2本。市販品はリドカイン4%まで。塗った上をラップで巻かない。後者は市販の麻酔クリーム解説がだいたい推奨してるやり方そのもの。

買う前に彫師に聞いたほうがいい。麻酔を一切断る彫師はけっこういる。処方によってはインクの入り方や腫れ方が変わるし、途中で効果が切れて、使わなかった場合より客がしんどくなるから。この拒否はそのタトゥーの仕上がりについての職人判断で、根性論じゃない。

最後まで座れる場所を選ぶ

初めての1個なら、正直に勧められるのは2〜5のレンジのどこか。自分の耐性が実際どのへんなのかを知ってから、あばらを考える。

外もも、二の腕の外側、前腕の外側。この3つは座るのが楽で、長期的にディテールも保つし、日光から隠しやすい。10年スパンで見ると最後の項目は痛みより効いてくる。同じ判断の、デザイン側の話は後悔しない最初のタトゥーのほうで詳しく書いた。

もう場所の候補があって、もっと楽な場所と迷ってるだけなら、予約の前に両方に図案を載せて見比べる。それぞれの部位の写真を OpenInkの試着ツール に上げると、同じ図案が前腕とあばらでどれだけスケールと巻き方を変えるかがそのまま出る。サイズがセッションの長さを決めて、長さが痛みを決める。スマホの画面で控えめに見えた図案が、実際は想像の倍の皮膚を要求してくることは珍しくない。

場所が決まったら、その場所に合わせてデザインを組む。あばらは縦構図と、彫師が速く進める余白がほしい。ももが受け止められる密度を、すねに持っていったら追加で3時間の我慢になる。OpenInkのAIタトゥージェネレーターで下絵を起こすときは、プロンプトに部位を書き込む。同じモチーフでも、前腕用に描いたものとあばら用に描いたものは別の絵になる。

最後にひとつだけ、はっきり書いておく。痛みはタトゥーの中でいちばん早く忘れるパート。ずっと付き合うのは場所とサイズと、その図案が15年後にも成立してるかどうか。図案にとってその場所が正解なら、「座るのがキツい」は場所を変える理由として弱い。

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